動詞が時制を表現する際、動詞の形は 不定形、過去基本形、過去分詞(まとめて三要形) が基本となります。 それぞれは、現在、過去、現在完了、を表現する際の基本になります。
動詞は三要形の作り方により、 規則動詞と不規則動詞に分けられます。 規則動詞(弱変化動詞)は、三要形を通じて語幹が変化せず、 「語幹+te」で過去基本形を、「ge+語幹+t」で過去分詞を作る動詞です。 不規則動詞は、過去基本形や過去分詞を作る際に幹母音(語幹の母音)の交換などが起こる動詞で、 その変化の仕方から強変化動詞と混合変化動詞に分類されます。 強変化動詞は、過去基本形に語尾が付かず、過去分詞の語尾が -en になるものであり、 混合変化動詞は、語幹は不規則に変化しますが、語尾は規則動詞と同じになるものです(表)。
| 不定形 | 過去基本形 | 過去分詞 | ||
|---|---|---|---|---|
| 規則動詞 | (弱変化動詞) | lernen | lernte | gelernt |
| 規則動詞 | 強変化 | sein | war | gewesen |
| 混合変化 | haben | hatte | gehabt |
人称とは、自分、相手、他人を表す文法上の区別です。 人称には、一人称(自分)、 二人称(相手)、三人称(他人)があります。 主語の人称、数、性別、に応じ、動詞は語尾を変えます(表A)。
動詞が人称変化した形を定型と言い、 それに対し何の変化もしていない動詞の基本的な型を不定形と言います。 辞典の見出しには不定形が用いられます。
原則として、 ich(私), du(君), er(彼), sie(彼女), es(それ), wir(私達), ihr(君達), sie(彼ら、彼女ら、それら), Sie(あなた) のそれぞれに対し、 動詞は、-e, -st, -t, -t, -t, -en, -t, -en, -en, の語尾を持ちます。
*文法上、er(彼), sie(彼女), es(それ) はそれぞれ同じ人称変化を持つことから、 今後は何の断りも無しにそれらの代表として er を表記することにします。 sie(彼ら、彼女ら、それら), Sie(あなた) もまたそれぞれ同じ人称変化を持つことから、 今後はそれらの代表として sie を表記することにします。
| 規則動詞 | 不規則動詞 | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| 不定形 | lieben | arbeiten | gehen | lesen | |
| 語幹 | lieb- | arbeit- | geh- | les- | |
| ich -e | liebe | arbeite | gehe | lese | |
| du -st | liebst | arbeitest | gehst | liest | |
| er -t | liebt | arbeitet | geht | liest | |
| wie -en | lieben | arbeiten | gehen | lesen | |
| ihr -t | liebt | arbeitet | geht | lest | |
| sie -en | lieben | arbeiten | gehen | lesen | |
人称変化は時制に限らず存在する概念で、過去形の場合は次のような形をします(表B)。
| 規則動詞 | 不規則動詞 | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| 不定形 | lieben | arbeiten | gehen | lesen | |
| 過去基本形 | liebte | arbeitete | ging | las | |
| ich -e | liebte | arbeitete | ging | las | |
| du -st | liebtest | arbeitetest | gingst | lasest | |
| er -e | liebte | arbeitete | ging | las | |
| wie -en | liebten | arbeiteten | gingen | lasen | |
| ihr -t | liebtet | arbeitetet | gingt | last | |
| sie -en | liebten | arbeiteten | gingen | lasen | |
態とは、文における主語と動詞との関係です。 主語が働きかける基本的な動詞の形を能動態(例.1)、 文の主語が他のものから働きをうける形を受動態(例.2)と言います。 受動態を表す動詞成分は、受動の助動詞 werden を用い、 「werden+過去分詞」の形をとります。 受動態での時制表現は、受動の助動詞 werden の三要形(表A)を用います。
| 不定形 | 過去形 | 過去分詞形 |
|---|---|---|
| werden | wurde | worden |
法とは、話し手の心的態度を示す動詞の形です。 ドイツ語の法には、直説法、命令法、接続法、があります。 (詳細は次項)
直説法はある事柄を事実として述べる場合に用いられる法です。 動詞を使用した時点で、 法についての特別な形を持たせなければ自動的にこの法となります。
命令法は、命令・依頼・要請・禁止 などを表す法です。 命令法は、命令の対象となる2人称によって形が異なります(表)。 du の命令法では、語幹に -e を付けるか、語尾を省きます。 但し、現在人称変化の2人称単数で幹母音が e から i または ie に変わる不規則動詞は、 幹母音を人称変化の通りに変え、語尾 -e は付けません。 ihr の命令法では語幹に -t(または -et)を付けて作ります。 Sie の命令形では不定形を用います。
| 不定形 | sagen | kommen | sprechen | sein |
|---|---|---|---|---|
| du | sage | komm(e) | sprich | sei |
| ihr | sagt | kommt | sprecht | seid |
| Sie | sagen | kommen | sprechen | seien |
接続法第一式は、 「…は…せよ」という命令や、「…が…であるように」という祈願、 また、ある発話や考えを引用者の立場から言い直して間接的に伝える場合に用います。 一般に、接続法第一式は不定形の語幹に -e を付け、 次に人称語尾を付けて作ります(表)(例.1, 3, 5, 7)。 過去形の作り方と基本的には同じですが、 接続法第一式ではその原則は不規則動詞にも及び徹底しています。
| 不定形 | arbeiten | tun | sein | haben | werden |
|---|---|---|---|---|---|
| 語幹 | arbeit- | tu- | sei- | hab- | werd- |
| ich -e | arbeite | tue | sei | habe | werde |
| du -est | arbeitest | tuest | sei(e)st | habest | werdest |
| er -e | arbeite | tue | sei | habe | werde |
| wir -en | arbeiten | tun | seien | haben | werden |
| ihr -et | arbeitet | tuet | seiet | habet | werdet |
| Sie -en | arbeiten | tun | seien | haben | werden |
接続法第二式は、事実に反することを仮定し、 それに基づく帰結を述べるときや、 必ずしも事実に反するわけではないことを控えめな態度で述べる場合に用います。 また、接続法第一式が直説法現在と同型になる場合には、 直説法現在ではないことを明確化させる為、 接続式第二式を代用する場合も多くあります。 接続式第二式は、過去基本形に -e を付け、 幹母音が a, o, u ならばそれをウムラウトさせ、 それに人称語尾を付けて作ります(表)(例.1~ 7)。
| 不定形 | arbeiten | tun | sein | haben | werden |
|---|---|---|---|---|---|
| 過去基本形 | arbeite | tat | war | hatte | wurde |
| ich -e | arbeite | täte | wäre | hättest | würde |
| du -est | arbeitest | tätest | wärest | hättest | würdest |
| er -e | arbeite | täte | wäre | hätte | würde |
| wir -en | arbeiten | täten | wären | hätten | würden |
| ihr -et | arbeitet | tätet | wäret | hättet | würdet |
| Sie -en | arbeiten | täten | wären | hätten | würden |
助動詞は動詞と共に用い動詞の補助をする働きを持ちます。 助動詞と結び付く不定詞や過去分詞は主節では原則として文末に置きます。 助動詞を用いる場合、動詞に代わって助動詞が語形変化を引き受けます。
完了の助動詞は過去分詞と結び付いて完了形を作ります(例.1, 2)。 完了の助動詞には、haben, sein があります。
受動の助動詞は過去分詞と結び付いて受動態を作ります(例.1, 2)。 受動の助動詞には werden 及び sein があります。
未来の助動詞は不定詞と結び付いて未来形を作ります(例.1)。 未来の助動詞には werden があります。
主観の助動詞には dürfen(例.1)、 können(例.2)、mögen(例.3)、 müssen(例.4, 5)、sollen(例.6)、wollen(例.7)があります。 文末の不定形と結び付き、 可能性や義務など話者の主観的な意味合いを付加します。 場合により、複数の助動詞を組み合わせて用いることもあります(例.8)。
möchten は本来 mögen の接続法第二式ですが、 「〜したい」という願望を表す助動詞とみなせます(例.1, 2)。 lassen は使役の助動詞として用います(例.3)。 知覚動詞もまた助動詞として用いることがあります(例.4)。
助動詞は動詞を用いなくても十分意味が通じると考えられる場合、 動詞を省略して用いる場合があります(例.1~ 4)。
複合動詞は、 別の語と一緒になって一つの動詞として働くものです。
分離動詞は、 主文の定型として用いられる場合に、 前綴りが基礎動詞部分から文末に置かれる複合動詞です(例.1)。 分離動詞を作る分離前綴りには an-, auf-, aus-, bei-, ein-, her-, hin-, mit-, nach-, mieder-, zu-, zurück-, zusammen- などがあります。 分離動詞のアクセントは、分離前綴りのほうにあります。 本サイトでは特に分離動詞であることを示す場合、 基礎動詞部と前綴りとの間に | を入れています。
非分離動詞は、 いかなる場合にも基礎動詞部分と前綴りが分離しない複合動詞です(例.1)。 非分離動詞を作る前綴りには be-, emp-, ent-, er-, ge-, ver-, zer- があります。 非分離動詞の前綴りはアクセントを持ちません。
複合動詞の前綴りのうち、 durch-, hinter-, über-, um-, unter-, voll-, wider-, は分離動詞にも非分離動詞にも用いられ、分離・非分離前綴りと呼ばれます。 durch, um 以外は、動詞が空間的・具体的な意味を表すときには分離し(例.1)、 抽象的な意味のときには非分離になることが多いようです(例.2)。
再帰動詞は、再帰代名詞と結び付いて一つの纏まった意味を成す動詞です。 再帰動詞は大きく分けて、4格の再帰代名詞を取るもの(例.1)、 3格の再帰代名詞を取るもの(例.2)、 複数形の再帰代名詞のみを取るもの(例.3)があります。
| 再帰代名詞の格 | 代表的な再帰動詞 |
|---|---|
| 4格 | erinnern an, erkälten, erholen von, aus|ruhen von, verspäten, beeilen, interessieren für, kümmeren um, freuen über/auf, beschäftigen mit, schminken, an|ziehen, aus|ziehen, setzen, stellen, legen, anmelden zu, langweilen, rasieren, ärgern, entsculdigen bei für, vorstellen |
| 3格 | erlauben, waschen, kämmen, an|ziehen, kaufen, kochen, bestellen, an|sehen |
| 複数形 | sehen, treffen, lieben, grüßen, kennen, verstehen, unterhalten |